水泳選手と言えば、まず広い肩幅を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?
水泳は基本的に全身運動ですが、競技として世界で戦う選手になれば、専門種目によって主に使う筋肉が違うことから体つきが違うことも少なくありません。
代表的な例として、自由形やバタフライは肩の筋肉三角筋や広背筋を使うことが多く、三角筋が盛り上がっている選手をよく見かけます。
背泳ぎは唯一体を上に向けて泳ぐ種目で、首に力がかかるので首が太い選手が多いのが特徴です。
平泳ぎは腕のかきがほかの種目と違い、手のかきが胸の前だけになりますので主に大胸筋を使うことから、胸板が厚い選手が多いことが特徴です。
水泳選手とひとことで言っても、長距離泳ぐ選手と短距離が専門の選手、また種目によってつき方が違う筋肉について、ご紹介していきます!
水泳選手の体型や筋肉の特徴
水泳選手の体脂肪率は高め
水泳選手は他の競技をしている選手に比べ、体脂肪率が高い選手が多いです。 これは、体脂肪率が高い方が水に浮きやすいためで、平均8~16%前後です。
肩幅が広くなるため逆三角形のシルエットに
水泳選手はなぜ逆三角形のたくましいボディなんでしょうか?
水泳選手は、広背筋や大胸筋など大きな筋肉の速筋を鍛える必要があるため、筋肉が大きな選手が多いのが特徴です。
加えて広背筋や大胸筋が大きくなれば当然肩幅が広くなります。このことから、水泳選手の多くが肩幅が広いことが分かります。
猫背になりにくく姿勢が良い
また水泳選手は、意識していなければ普段の生活ではあまり使われない三角筋の後ろ側、肩甲骨の筋肉である棘下筋、背中の筋肉小円筋を、泳ぐことで使いますので肩を外側に開く筋肉が鍛えられることにより、猫背になりにくく姿勢が良いです。
水泳は、足腰に負担がかかりにくい全身運動としては大変効果的ですが、浮力がある水の中では骨に与える刺激が少ないので、骨粗鬆症の予防を目的で運動する場合は陸上での運動の方が効果的です。
日本人水泳選手の筋肉
北島康介
最近の日本水泳界の第一人者としてまず名前が挙がるのは、この北島康介でしょう。
北島康介選手についてご紹介します。
氏名:北島康介(きたじまこうすけ)
生年月日:1982年9月22日
専門種目:平泳ぎ
2004年アテネオリンピック、2008年北京オリンピックで100m平泳ぎ、200m平泳ぎで2大会連続二冠達成。
競技終了後のインタビューで「チョー気持ちいい」「何も言えねぇ」などの流行語を生みだしました。
オリンピックで2大会連続二冠達成は日本人初、平泳ぎで2大会連続二冠達成は世界初の快挙です。
2012年ロンドンオリンピックでは個人種目でのメダル獲得はなりませんでしたが、400mメドレーリレーで銀メダルを獲得。
2016年リオデジャネイロオリンピックには、日本代表選手選考会で派遣標準記録を突破できずオリンピックへの出場を逃し、現役を引退しました。
まず注目したいのが、三角筋に向かって伸びる大胸筋です。 平泳ぎでの手のかきで主に使う筋肉で、ベンチプレスなどで腕ではなく胸を意識してトレーニングすることが大切です。
平泳ぎでは、肩の筋肉三角筋前部・中部・後部のいわゆる肩の前面・側面・背面を主に使います。 また、力こぶ(上腕二頭筋)も使われますので、肩から上腕にかけての筋肉の発達が見られます。
平泳ぎのキックは、ほかの3種目と足の動きが違います。 ほかの3種目と比べ、キックでの推進力が高いのが特徴で、太もも、ふくらはぎ、お尻の筋肉の発達が分かります。
入江陵介
北島康介選手が引退した後、日本の水泳界の精神的支えになったのはこの入江陵介でしょう。 入江陵介選手について、ご紹介します。
氏名:入江陵介(いりえりょうすけ)
生年月日:1990年1月24日
専門種目:背泳ぎ
2011年世界選手権大会で100m背泳ぎで銅メダル、200m背泳ぎで銀メダルを獲得しました。
2012年ロンドンオリンピックでは、100m背泳ぎで銅メダル、200m背泳ぎで銀メダルを獲得し、400mメドレーリレーでも見事銅メダルを獲得しています。
2016年リオデジャネイロオリンピックでは、100m背泳ぎで7位、200m背泳ぎで8位と表彰台を逃し、「賞味期限切れなのかな」と、目に涙を浮かべ話しました。
2017年世界選手権大会ではメダルには届きませんでしたが、「目標はあくまでも東京オリンピック」と前を向いています。
背泳ぎの手のかきは、主に前腕屈筋群(手首から前腕にかけての太い筋肉)を使います。 入江選手の腕も、肘から手首までの筋肉が盛り上がっていることが分かります。
また背泳ぎでは、脇の下の筋肉、大円筋を使います。 腕や肩で水を抱え込むようにかくことで、脇腹から腕にかけての筋肉が発達します。
背泳ぎでは、手を大きく上に伸ばして水をかくので、体が左右にローリングします。
左右のローリングで手足により力が入ることで、お腹周りを斜めに走る筋肉、腹斜筋が発達します。
萩野公介
和製フェルペスと名高い萩野公介選手。
個人メドレー、自由形、背泳ぎと大会ではさまざまな種目にエントリーすることも珍しくありません。
そんな萩野公介選手について、ご紹介しましょう!!
氏名:萩野公介(はぎのこうすけ)
生年月日:1994年8月15日
専門種目:個人メドレー、背泳ぎ、自由形
2012年ロンドンオリンピックに、シドニーオリンピックの北島康介選手以来の高校生としての出場を果たしました。
そのロンドのリンピックで、高校選手としては56年ぶりとなるメダル獲得、銅メダルを獲得しました。
2016年リオデジャネイロオリンピックでは、400m個人メドレーで日本記録を樹立し、個人メドレーでは日本人初の金メダルを獲得しました。
同大会の800mフリーリレー、52年ぶりのメダル獲得となる銅メダルを獲得しました。
萩野公介選手は、個人メドレー、自由形、背泳ぎを専門としていますので、特に上半身の筋肉が特に発達しています。
個人メドレーではバタフライも泳ぎます。 バタフライでは、背中全体の大きな筋肉も重要ですので広背筋の発達が見られます。
バタフライ、背泳ぎ、クロールの手のかきで重要な筋肉、上腕三頭筋(二の腕)が発達していることが分かります。
海外水泳選手の筋肉
マイケル・フェルプス
水の怪物として水泳界を支えてきた選手と言えば、アメリカ代表のこのマイケル・フェルプスでしょう。
オリンピックでは、史上最多の金23、銀3、銅2個の計28個のメダルを獲得しています。
マイケル・フェルプス選手についてご紹介します。
氏名 | マイケル・フェルプス |
生年月日 | 1985年6月30日 |
種目 | 個人メドレー・自由形・バタフライ |
特徴 | 水の怪物として知られ オリンピックでのメダル獲得数は史上最多 史上最強のスイマーとも言われる |
@m_phelps00 |
2000年シドニーオリンピックに15歳で出場し、200mバタフライで5位に入賞しました。
2001年に200mバタフライの世界記録を樹立し、その後10年以上一人の選手が同じ種目の記録を更新し続けることは、水泳界としては非常に珍しいこととなります。
オリンピックメダル獲得数28個という偉業を成し遂げ、2016年リオデジャネイロオリンピックを最後に引退を発表しました。
萩野選手同様、バタフライ、背泳ぎ、自由形を専門としているアメリカマイケル・フェルプス選手。 三角筋(肩の筋肉)の盛り上がりがよく分かる1枚です。
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腹斜筋が盛り上がっているのがよく分かります。
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背中と脇の間にある大円筋が盛り上がっていることが分かります。
ルカ・ドット
モデルとしても活躍するイケメンスイマーとして知られるイタリア代表ルカ・ドット選手。 ルカ・ドット選手についてご紹介します。
氏名 | ルカ・ドット |
生年月日 | 1990年4月18日 |
種目 | 自由形 男子100m |
@dottolck |
自由形でイタリア記録47秒96を持っています。
22歳からアンダーウェアモデルとしても活躍しており、アルマーニのアンダーウェアのキャンペーンにも選ばれました。
2016年リオデジャネイロオリンピックに100m自由形で出場しましたが、メダル獲得はなりませんでした。
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自由形の選手、腹斜筋のラインがきれいです。
三角筋の丸みと大胸筋が分かりやすい一枚です。
バランスのいい上半身と、ふくらはぎの筋肉の盛り上がりが分かります。
フランスの背泳ぎ貴公子!カミーユラクール(@cam_lacourt_off)
フランス代表として活躍するカミーユラクール選手。
モデルとしても活躍し、パリコレの参加経験もある競泳選手です。 カミーユラクールとは、どんな選手でしょうか?
氏名:カミーユラクール
生年月日:1985年4月22日
専門種目:背泳ぎ
2016年リオデジャネイロオリンピックに出場し、100m背泳ぎで5位に入賞しました。
脇から背中に向かって伸びる大円筋の筋肉が発達していることが分かります。
背泳ぎの選手らしく、二の腕の筋肉上腕三頭筋の盛り上がりが分かります。首の太さにも注目してみてください!!
番外編:飛び込み選手トーマス・デーリー(@TomDaley1994)
競泳ではなく、飛込の選手として活躍するイギリスの選手トーマス・デーリー。
2009年、国際水泳連盟の10m高飛び込み部門で世界ランキング1位になりました。
トーマス・デーリー選手をご紹介しましょう。
氏名:トーマス・デーリー
生年月日:1994年5月21日
専門種目:飛込競技(10m高飛び込み)
2008年北京オリンピックにイギリス史上最年少の13歳で出場し、10mシンクロ飛び込みで8位、個人10m飛込では7位になりました。
2012年ロンドンオリンピック、2016年リオデジャネイロオリンピックでは、銅メダルを獲得しています。
飛込選手は、踏み切ってから入水まで空中でさまざまな姿勢が大切になりますので、腹筋が重要です。
入水のときの衝撃も原因でしょう、首の太さに注目です。
競泳選手と違い、どこかが突出して筋肉が発達しているわけではなく、バランスよく筋肉がついています。
まとめ〜水泳選手のトレーニング〜
水泳選手と言えば、どうしても広い肩幅を思い浮かべますが、全身運動ではあっても種目によって主に大きく使う筋肉が異なることで、筋肉の発達はそれぞれ違います。
一般の方は、水泳をすると水が重りの代わりになり筋トレ効果も期待できますが、競泳選手となると、泳ぐだけでは必要な筋肉の発達が足りないことが多く、最近では多くの選手が陸上での筋トレを行っています。
また水泳は、体の軸がしっかりしていないとまっすぐ泳ぐことが難しかったり、思うように手足を動かせないなどということがありますので、体幹を鍛えるトレーニングも大切です。
体幹トレーニングは一般の方でも姿勢の改善などの効果が期待できますので、水泳選手でなくてもぜひ日ごろから取り入れてみるといいでしょう。
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