「たくましい腕」「盛りあがった力こぶ」日々、トレーニングに余念のない男性の皆さんは誰しも手に入れたいところではないでしょうか。
上腕部の筋力アップはトレーニングの主が肘の曲げ伸ばしというシンプルな動きということもあり、一定のレベルまではすんなりと到達しやすいものですが、ある程度でピタッと停滞してしまうことも多々あります。
他の部位に比べて、種目のレパートリーも増やしにくい上腕部のトレーニングですが、今回はインクラインダンベルカールを紹介しながら、停滞期をどう乗り切るか、アプローチしにくい箇所にどうアタックしていくかをお伝えしていこうと思います。
インクラインダンベルカールとは?
http://www.muscleandfitness.com/workouts/arm-exercises/bust-out-bigger-guns-incline-biceps-curl
インクラインダンベルカールとは、その名のとおり、インクラインベンチに腰を掛けおこなうアームカールです。
「なんだ座ってカールするだけじゃないか、そんなんで何が変わるんだよ」
そういったお声が聞こえてきそうな気がします。
…はい、筆者も正直最初はそう思ってました。
しかし、上腕部の筋肉をはじめ、上体の構造を頭に入れると、非常に理にかなっている種目といえるのです。
まずは、ターゲットとする部位を明確にしてまいりましょう。l
インクラインダンベルカールで鍛えられる筋肉
http://orthoinfo.aaos.org/topic.cfm?topic=a00376
力こぶを形づくる上腕二頭筋は、その名のとおり肩との結合部分が二つの頭に分かれており、外側につく部位を長頭、内側の部位を短頭といいます。
上腕二頭筋は肘関節を曲げる(屈曲)させる筋肉だということは馴染み深いところですが、肘から先(前腕部)を外側に捻る(回外)させる筋肉でもあります。
手の親指を外側に向ける動作が回外ということですね。
そして、屈曲にかかわる比率が高いのが長頭、回外にかかわる比率が高いのが短頭です。
つまり、同じアームカールの動作を行っても、グリップの向きによって短頭主働か長頭主働かが変わってくるということです。
いつも、アームカールバーを使ってアームカールを行っているとしたら、短頭には十分に刺激は入りますが、長頭のトレーニングは十分に行えていない可能性が高いといえます。
上腕二頭筋を鍛えるうえで立ちはだかる壁を打破するためには、長頭部にどうやってアプローチしていくかにかかってくるのです。
インクラインダンベルカールのメリット
http://relentlessgains.com/wp-content/uploads/2013/07/arnold-biceps.jpg
インクラインダンベルカールの魅力は何といっても上腕二頭筋長頭へのアプローチをしっかりと行えるという点です。
筋トレの原則として、ターゲットとする筋繊維の可動域を十分に保つ必要がありますが、長頭部は直立した状態で腕を真下に下ろしたポジションでもストレッチしきれません。
長頭をしっかりとストレッチさせるためには肩関節を後ろに引く(肩関節の過伸展)ことが必要ですが、インクラインダンベルカールは、まさにこのスタートポジションから負荷をかけることができるため、長頭部にしっかりと刺激を与えるにはうってつけの種目といえます。
アームカールやプリチャーカールとの収縮の違い
前述のとおり、インクラインダンベルカールは上腕二頭筋長頭に意識を向けるという点が、通常のアームカールやプリチャーカールと違う点です。
直立した状態でのアームカールや、腕を前に出した状態(肩関節の屈曲)でのプリチャーカールでは長頭のストレッチが十分に行えず、短頭部が主働となり上腕部の内側ばかりが鍛えられるということとなります。
トレーニングに慣れ、さらなる上腕部全体の強化を図りたいというフェーズにいるのであれば、インクラインダンベルカールによって長頭への刺激を加えることが重要になります。
ちなみにプリ―チャーカールは肘を支点に固定されるため、上腕と肘の境目あたり(上腕二頭筋の停止)への負荷が非常に強くなります。
プリチャーカールをとり入れたプログラムで肘の違和感や痛みを感じている場合は、トレーニングの流れや負荷調整など見直してみると良いかと思います。
インクラインダンベルカールのフォームポイント
http://www.muscleandfitness.com/workouts/arms-exercises/
・ベンチ角度は45度程度に設定する。
・顔は正面を向き、頭は軽くベンチから離しておく。
・ダンベルを持ち、上腕二頭筋がストレッチされている感覚をしっかり感じた状態から肘を曲げていく。
・肘の屈曲時は上腕部の角度は極力固定し肩や胸に余分な力が入らないように注意する。
・トップポジションで上腕二頭筋の収縮をギュッと感じるように意識し、ゆっくりとスタートポジションに戻る。
・スタートポジションでは手のひらが前を向いている状態からフィニッシュに向けて手のひらを少し内側に捻るようにグリップすると長頭への意識がより高まる。
インクラインダンベルカールのポイントは上腕二頭筋の「ストレッチ」と「収縮」にあります。
スタートポジションではしっかりと上腕二頭筋をストレッチしていることを感じながら、筋繊維一本一本の収縮を感じ取るように動作を行ってください。
また、スタートポジションに戻る際も一気に脱力はせず、ゆっくりとスピードコントロールしながら戻していくことが重要です。
また、頭がベンチについている状態では、肩や首への負担がかかりやすくなりますので、頭は少し浮かせ脊柱を軽く丸めるようにするとやりやすくなります。
インクラインダンベルカールの負荷設定
インクラインダンベルカールの負荷設定は、最初のうちは8~15回程度の回数でコントロールしきれる重量で行うことをオススメします。
長頭部がストレッチしきっている状態からのスタートとなるため、超負荷でのトレーニングでは長頭への負担が非常にかかり上腕二頭筋長頭腱炎起こす可能性もあります。
ご自身の筋肉量を把握し、フォームチェックをしっかりと行ったうえで適正負荷を見極めてください。
インクラインダンベルカールの効果を最大限にする方法
インクラインダンベルカールは一つの種目だけで上腕二頭筋のトレーニングが完結できるものではありません。
ポイントはあくまでも長頭部の可動域を最大限引き出すという点にあります。
そのため、上腕二頭筋のトレーニングの際は1~2種目高負荷でのトレーニングを行い、筋繊維を疲弊させた状態の中で、インクラインダンベルカールで「最後の追い込みをかける!」というプログラムの組み方がオススメです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
肘を曲げ伸ばしするだけの単関節運動でも、種目のレパートリーを増やしていくと、普段効かせづらい箇所にもアプローチすることができます。
圧倒的な身体づくりのためには、種目の好き嫌いはせずに色々な方法にチャレンジしていくことが大事ですね。
多種多様な種目をアクセントにして、ボディデザインに勤しんでまいりましょう!
合わせて知りたい筋トレカール系種目
種目名 | メインターゲット | レベル |
プリーチャーカール | 上腕二頭筋 | 初心者 |
コンセントレーションカール | 上腕二頭筋 | 初心者 |
スパイダーカール | 上腕二頭筋 | 中級者 |
リバースカール | 上腕筋 | 中級者 |
リストカール | 前腕 | 初心者 |
パームカール | 上腕二頭筋 | 初心者 |